BOOKS・・・読書感想:
★★★☆☆『ありきたりの狂気の物語』/チャールズ・ブコウスキー

はじめて読みます、チャールズ・ブコウスキー。
短編集です。
ほとんどの作品が起承転結のない、悪く言えば垂れ流しのような文章で、文体も下品ですが、凄みを感じます。人間が生々しく生きる様子って、本当はこういうものなのかな。清潔な服を着て、毎日風呂に入っても消せない獣性を見せつけられるようで、正直不快な印象さえ受けます。脳内の言葉にならないはずのわだかまりが文章になってここにあることで、不本意ながら登場人物の中に自分を認めざるを得ない、そんなリアルさを感じました。もう読みたくないな(笑)。・・・でも読んじゃうかも。



★★★☆☆ 『夜更けのエントロピー』/ダン・シモンズ

 図書館で借りた本。なにかリアルにかわいらしい装丁で、男性が読むのは恥ずかしいのではないかと思いますが。
 内容はとても面白かったです。ただ「ドラキュラの子供たち」はどうも・・・。読み始めてすぐ「ん?なんか読んだことあるな」と思ったら、「夜の子供たち」の元となった短編でした。「夜の子供たち」も読むの辛かったので、それに気付いた時点でちょっと萎えちゃったのもあるかもしれません。
 「黄泉の川が逆流する」は(→ネタバレか?)ペットセマタリーもの。これがデビュー作とはスゴイです。雰囲気の違う別訳もあるそうなので、ぜひ読んでみたいと思います。
 ハズレがなく、読んで得する短編集ですね。星4つか3つか迷うなぁ。



★★★☆☆ 『タリー家の呪い/ウィリアム・H・ハラハン

 スタンリー・エリン、ロバート・ブロックの賛辞に惹かれて古本で購入後、積んでた本です。

 「タリー家の呪い」を読むのは、ジグソー・パズルを解くのにも似ている。
 一片一片を然るべき場所に嵌めていくにつれ、
 恐怖を伴う予感が冷たい旋律となって背筋を走る
 ---スタンリー・エリン

 まさしくこういう感じの読後感でした(なまけて引用しておきます)。



★★★☆☆ 『吸血鬼伝説』/仁賀克雄編

 アン・ライス以前の吸血鬼小説のアンソロジー。カバーになにかの写真が使われているのですが、一体なんなんでしょう。何度も眺めたけど結局わからない。めちゃくちゃ気持ち悪いです。
 収録作家はリチャード・マシスン、オーガスト・ダーレス、ロバート・ブロック、チャールズ・ボーモントなどなど。ゴシック、モダンホラー、SFと、様々なタッチの吸血鬼小説が収録されています。唯一ヴァン・ヴォークトのSFものが辛かったです。どーしても設定になじめない。チャールズ・ボーモントは異色作家短編集でとても気に入り、大注目の作家だったので、楽しみにしていましたが、ブラッドベリを彷彿とさせる味わい深い短編で満足!



★★★★☆ 『太陽の黄金の林檎』/レイ・ブラッドベリ

読んでるつもりが読んでなかった本。
お気に入りは、たまらなく寂しい「目に見えぬ少年」、恐ろしい光景が絵画的な美しい余韻を残す「ぬいとり」、セピアカラーとフルカラーの対比「山のあなたに」、くじを彷彿とさせる読後感「夜の出来事」。その他、怪奇小説のような雰囲気を持ちながらもブラッドベリ独特の優しさ溢れる「霧笛」、目的に追い込まれる「鉢の底の果物」、古き悪しきアメリカ、生の喜び「黒白対抗戦」、わが人生「日と影」などなど、面白い作品がかなりありました。読んで(ないのを気付いて)よかった!



★★★★☆ 『デヴィッド・コパフィールド』/チャールズ・ディケンズ

 読書の愉しみを存分に味わわせてくれる本。個性的な登場人物たちが泣いたり笑ったりしながら紡いでいく物語は、結末やテーマなどを追い求めずとも、充分な満足感を与えてくれると思います。もうちょっと新しい訳で読めたら嬉しいんですけど・・・。



★★★★☆ 『オリヴァー・トゥイスト』/チャールズ・ディケンズ

 ディケンズは「クリスマス・キャロル」に次いで二作目。
 孤児として辛い状況下で育ったオリヴァー・トゥイストが、逃げ出した先で盗賊団に入ってしまうお話です。19世紀末のロンドンを舞台として描かれたお話ですが、その風俗などリアルに書きうつした作品とされています。
 富裕層の輝くような明るさと、貧民街のじっとりと暗い描写の対比がとても印象的です。(チョットネタバレ)→ナンシーがサイクスに殺されてしまう章と、他の章とは明らかに筆致の違って重苦しい雰囲気の、フェイギンの最期の章がこの物語中、最も印象深いことからもこの物語の肝は、貧民街で暮らす人々なのかな。主人公であるはず(?)のオリヴァーはどこか蚊帳の外。最後までお人形のような存在でしたし。



★★★☆☆ 『郵便配達は二度ベルを鳴らす』/ジェームズ・ケイン

 なんだか往年の名作映画の原作を選んで読んでいるようですが、特に意図してません(笑)。ジム・トンプスンの邦訳が最近出ていないので、似ているとウワサのこの作品を手に取りました。
 暴力的で妙になまなましくリアルな小説でした。印象的なタイトルですが、ストーリーには全く関係がありません。なんでこのタイトルなのか?色々と考えることで、更にこの作品に対する興味が深まりますよ!
 ちなみに私は(軽いネタバレ)→衝動に突き動かされるように行う殺人が、いたずらかなにかのように淡々と行われる様子から、郵便配達が二度ベルを鳴らす、せかすようでいて日常的な当たり前の光景をイメージしました。二人の犯した二度の殺人ともかかっていると思います。衝動は郵便配達のように目的を達するまで訪れるんですかね。



★★★★☆ 『太陽がいっぱい』/パトリシア・ハイスミス

 こちらも映画で有名な作品。
 リプリーのディッキーに対する愛憎入り混じった感情がなんとも言えません。後半は蛇足に思えるほど、クライマックスへ向かう前の、リプリーの複雑な感情を描いた部分が印象に残ります。序盤〜中盤、この部分だけで★四つです。



 

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